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U.Kaye Presents いつか、New Orleans

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by UKaye

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semスキン用のアイコン01 きょうブロ -The Color Purple  semスキン用のアイコン02

2006年 01月 01日

日本じゃもう、新年あけちゃったんですねぇ。こちらニューヨーク、まだまだそんな気配はやってきません。これからが大晦日の一日の始まりっ!

今回のB'way、ラストを飾るのは(今日のTKTS次第では、もう1本あるかも)、"The Color Purple"。アリス・ウォーカーの小説、そしてスティーブン・スピルバーグの映画でお馴染みの注目作品。今まで明かされていなかった黒人の生活が浮き彫りにされた話題作。ストーリーは、こんな感じ
14歳にして、父(実は継父)から継続的に性行為を強要され、結果2人の母親となったCelie。やがて子とは引き離され、名も知らぬ男Misterに嫁がされる。Misterからの暴力に耐える日々。ある日、Celieの妹Nettieが、父の元を逃れ、助けを求めてMisterの家にやってくる。ところが、MisterはNettieに襲い掛かったためにNettiはここからも逃亡。行く宛てのないNettieに、Celieは不安を感じながら過ごす毎日。
 ある日、Misterの愛人で歌手のShug Averyが町にやって来ると、まもなく病気にかかり、Celieが看病の役に。最初はCelieに辛く当たっていたShugも、次第に心を開き、彼女達が恋人同士の仲に。そして、Shugのお陰でMisterが隠していたNettieからの手紙を発見。Nettieは、アフリカで宣教師として活躍し、しかも生き別れたCelieの子供達、AdamとOliviaを同伴とのこと。無事を知って大喜びのCelie。
 Misterに不信感を抱いたShugとCelieは、家を飛び出して、自分達の生活を始める。CelieはShugのステージ衣装用に服を作っていたが、Shugがその才能を認め、店を開くよう進める。こうして、暴力父や夫に耐えるしか生きる術がないと思われていたCelieは、自立した生活を立派に営めるようになる。そして、Nettieが子供達を連れて帰ってきて、ハッピーエンド。

黒人の合唱は、お約束されて素晴らしい。舞台美術も、アフリカの風景とか、作品のタイトルになっている紫色のサツマイモの花など、色彩美が優れている。じゃ、作品全体はどうだったかというと、、、ま、こんなもんかな、といった程度。
基本的には、ハッピーエンドで盛り上がればいいんだけど、ハッピーを心一杯感じるための、「タメ」が浅かったんじゃないかなぁ。原作では本当は浅くないんだけど、舞台ではそぎ落とされていて。Nettieはアフリカで、本当はもっと苦しむしんだけど(Celieからの手紙が何十年もの間届かないままだったり、AdamとOliviaが自分に似てるからって、養母からは養父とNettieで作った子供じゃないかって疑われたり)、それを表現すると舞台が冗長になっちゃうし、登場人物も増やさなきゃいけないっていう現実に負けたかな。
アメリカの黒人社会では、夫が妻に暴力を振るう、女性の地位がその程度であるという現実。そしてNettieが訪れたアフリカも、やはり女に教育を施すなんてとんでもないと考えている国。さらに、この国は解放奴隷が作ったモンロビアなんだけど、解放奴隷組が元々住んでいた黒人を「原住民」と呼んだり、政府高官である黒人達は白人の金銭に汚されていたり、その白人達の支配に抵抗するため、「原住民」たちは、成人した女性の顔を傷つけ、傷跡でメイクするなんていう「伝統」を守り続けようとする。特に最後は、痛々しいし、不衛生・不健康なんだから、アメリカからやってきた宣教師であるNettieは当然止めようとする。科学的に不適切だから止めようとしているけど、原住民にしてみれば文化の侵害というジレンマ。モンロビアが黒人のユートピアなんて自分が勝手に抱いていた幻想を見事に打ち砕いてくれた、自分にとって忘れられない一冊だったんだけど、やはりこの"The Color Purple"は、活字でディテイルを理解して感動する作品なんだろうなぁ、と。

でもこれ、キャストアルバムは絶対に欲しいです。そんで、日本帰ったらまず映画版のDVDを見てみよう。そんで気づくことあったら、次回訪れたときに再度舞台も見てみたいですね。

by UKaye | 2006-01-01 01:18 | Broadway